広報こしがや

2016年01月29日

№531 その症状、花粉症かも! 中川耳鼻咽喉科 中川美紀

日本人の4人に1人は花粉症と言われています。原因となる花粉は、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどですが、患者さんの70%はスギ花粉症です。これは日本の国土に占めるスギ林の面積が大きいためです。  花粉が完成するのは10月中旬です。年を越して暖かくなり始めると開花して、関東地方では2月ごろには花粉が一斉に飛び始めます。鼻水・鼻閉・くしゃみが3大症状ですが、眼、皮膚、鼻、耳、のどのかゆみや、頭痛、頭重感、微熱、だるさなど全身症状を起こすこともあります。診断は、問診、診察、検査で行います。検査の方法は、鼻汁検査、皮膚テスト、血液検査です。これらを総合して診断します。  治療法は大きく分けて2つあります。対症療法と根治療法です。  対症療法は、点眼、点鼻薬による局所療法、内服薬による全身療法、レーザーによる手術療法です。内服薬は眠気が出る種類もあるので、運転する人や高所での作業をする人はあらかじめそのことを医師に伝えておくといいですね。これらの薬剤を上手に使えば、花粉が多い年でも5~6割の患者さんに症状がほとんど出ないことがわかっています。また、花粉の飛び始めと同時に治療を開始する「初期療法」が有効です。手術は、局所療法や全身療法で効果のない場合に考えます。  根治療法は、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に吸収させアレルギー反応を弱めていくアレルゲン免疫療法です。平成26年に承認された舌下免疫療法が注目されています。アレルギーの原因物質を含むエキスを舌の下に投与する方法です。12歳以上の方がこの治療を受けられますが、重い副作用としてアナフィラキシーショックを起こすことがあり注意が必要です。他に病気があると、この治療は受けられないこともあります。また、花粉の飛散中は新たに治療を始められません。  自分でできる花粉症対策、花粉の除去と回避も有効です。外出時には花粉が入らないようマスク、眼鏡をつけてください。帰宅したら着替えやうがいをするのもいいですね。いろいろな治療法についてかかりつけ医と相談し、専門医へ受診してみてはいかがでしょうか。

 

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