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2016年06月03日

№535 乳幼児の便秘 越谷ふれあいクリニック 根本貴史

便秘は日常診療において乳幼児をもつ保護者の方々からの多い相談の一つです。いったい便秘とはどういった状態を指すのでしょうか。
 一般的には便が停滞する、あるいは出にくい状態であり、その定義として小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインでは、4歳未満の小児では、以下の項目の少なくとも2つが1カ月以上あることです。(1)1週間に2回以下の排便 (2)トイレでの排便を習得した後、少なくとも週に1回の便失禁 (3)過度の便の貯留の既往 (4)痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往 (5)直腸に大きな便塊の存在 (6)トイレが詰まるくらい大きな便の既往。
 また乳児では、排便が週2回以下、あるいは硬くて痛みを伴う排便で、かつ先の項目の少なくとも1つがある場合、便秘とみなされます。実際の日常診療においては、この基準を満たす必要はなく、項目のような臨床症状や所見があれば便秘症と診断されます。
 便秘の原因としてそのほとんどは食事や生活習慣に起因したり、また明らかな原因のみられない体質的ともいえる機能性便秘といわれるものです。発症時期として(1)離乳食の開始時 (2)トイレトレーニング導入時 (3)入園時や就学時に多いといわれます。対して、出生早期の発症や治療抵抗例には器質性便秘といわれる特別な検査や治療を要することも少数ながらみられます。
 実際の治療は、まず食生活の改善で、子供の月齢・年齢に見合った哺乳や食事内容の確認で、哺乳量が十分であるか、偏食がないか、繊維質の多い食品をバランスよくとれているかです。また排便状況の確認も重要で、排便時痛や出血、切れ痔の存在や便失禁の有無も気を付けなくてはなりません。なかには切れ痔の痛みによって排便を我慢してしまうという悪循環もみられます。
 下剤の服用も考慮します。下剤にも各種あり、子供の月齢・年齢や状況に応じて適切な服薬方法がありますのでご相談ください。

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