広報こしがや

2016年11月04日

№539 色覚検査   かがやき眼科皮膚科クリニック 西尾正哉

小・中学生のお子様をお持ちのご家庭にはすでに学校から連絡が来ていると思いますが、今年から小・中学校で色覚検査が再開されました。ただし希望制です。ある一定の年齢以上の方は記憶されていると思いますが、学校で色覚検査表を見て数字を読んだりしたあの検査です。実は平成14年の学校保健法施行規則の改正により、それまで小学4年生で行われていた色覚検査が事実上廃止されていました。
 その背景には、色覚検査で異常と判断された人たちへの差別が原因の一つとして挙げられています。しかし今回色覚検査が再開されることになった理由の一つに、本人や親を含めた周りの人も色覚異常に気付かないまま職業選択を行い、実際に就職する時に初めて色覚異常が判明し、希望の職を諦めざるを得ない、またはたとえ希望の職に就いたとしても色覚ハンデキャップのため大変な苦労をすることもある、という現実があるためです。あらかじめ自分の色覚について正しい知識を持っていれば、それなりに対処することができるでしょう。
 先に日本眼科医会が行った調査では、中学生、高校生で色覚異常と診断された人たちの約半数が、それまで自身の色覚異常を自覚していなかったという結果が出ています。今回の色覚検査再開により、こうした無自覚色覚異常の人たちをなくし、将来の就職等への影響を最小限にすることができると期待されます。
 大部分の色覚異常は遺伝によるものであり、色覚以外の視機能に異常はありません。色覚異常は男性の4・5%、女性の0・2%と、遺伝の形態上男性に多くみられます。この数字はクラスに1人程度はいるという計算で、実はごく一般的なものなのです。
 今回の改正により色覚という古くて新しい検査が学校で再開されます。これに伴い、教育現場においても色覚に関する正しい知識や対応が必要となり、例えばチョークの色使いなど、さまざまな色覚バリアフリーに配慮するよう求められることになります。

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