広報こしがや

2016年11月04日

№540 切迫早産(せっぱくそうざん)産婦人科菅原病院 菅原 新博

皆さんは妊娠した時に正常妊娠~正常分娩という経過を想像されると思います。しかし実際は約5人に1人は早産しかかる「切迫早産」という状態になります。早産というのは分娩予定日(40週0日)から3週間以上早く(37週0日以前)出産することをいいます。日本における早産率は年々増加しています。
 早産児は低体重であるとともに、体が未成熟な状態で生まれるため、成熟するまでに時間がかかる可能性があります。それは赤ちゃん・ご家族の方の重い負担になるかもしれません。切迫早産の程度はさまざまで、自宅安静・通院で管理可能という方から、入院・点滴が必要という重症の方まで多々いらっしゃいます。原因はここでは書ききれませんが、一番重要なのは早期の発見です。発見(診断)が遅れると早産を止めることができなくなります。 
 埼玉県は対人口比で産婦人科医数が全国最下位、未熟児専任の医師も非常に少ないという現実があり、早産すると未熟児を管理する場所がなかなか見つけづらいという事実もあります。ですから切迫早産を早期に発見・対処してほしいと思います。心配な症状があれば早めにかかりつけの先生に相談し、仕事をされている方は診断書・母健連絡カードを書いてもらって休職も選択してください(母性健康管理の措置を講じることは事業主の義務です)。
 また、経産婦さんは上のお子さんをご実家の方にみてもらうことも必要かもしれません。そういった環境整備のうえで必要あれば入院管理となります。入院をすると「この妊娠は良くないのでは」という方もいますが、良い結果を求めて必要な治療と向き合ってほしいと思います。
 それにより未熟児センターに行く必要がなくなれば、他の患児を未熟児センターが受け入れることができます。切迫早産を早期発見して、早く対処することで赤ちゃんを正期産(37週0日以降)まで近づけることが大事です。これは、未熟児で生まれるリスクを避け、出産後のご両親の負担を軽くすることができます。また、限られた未熟児センターのベッドに余裕ができ、他に入院が必要な赤ちゃんの収容が可能になります。

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