広報こしがや

2017年08月02日

NO.549 健康長寿への第一歩   弥栄医院  院長 朴 宗晋

健康長寿への第一歩

 皆さん、「もう年だからやる気も起きないのよね」「他の人と話したり出かけたりするのも面倒になってきた」と言っている高齢者は周囲にいませんか? それはフレイルの前兆かもしれません。
 フレイル(Frailty)とは、高齢期に心身の機能が低下しストレスに対する抵抗性もぜい弱になることです。フレイルは筋力の低下によって動作が緩慢になり転倒しやすくなるような「身体的問題」だけでなく、認知機能障害やうつなどの「精神・心理的問題」、孤独、独居や経済的困窮などの「社会的問題」を含む概念です。このフレイルを予防し日常生活の質を保つことが心身の健康長寿への第一歩と言えます。
 フレイルの基準には、(1)体重減少(意図せず年間4キロまたは5%以上) (2)歩行速度の低下 (3)握力の低下 (4)疲れやすい(週に3日以上何をするのも面倒だと感じる) (5)身体活動量の低下などがあります。この5項目のうち3項目以上該当しているとフレイルと診断できます。このような状態になると、何らかの疾患にり患しても抵抗力が低下しているので重症化しやすく、長期入院→筋力低下→寝たきりなどの要介護状態へのスパイラルに陥りやすくなります。もしフレイルの状態になったとしても諦めてはいけません。周囲の家族や医療者が早く気づけば、早期に介入し適切な援助を行うことでフレイルの状態から健常に近い状態へ改善し要介護状態に至る可能性を減らせます。
 フレイルの予防には食事・運動・社会性の3本柱が大切です。食事は筋力低下を防ぐために筋肉の源のタンパク質の摂取を心がけましょう。もちろんミネラルやビタミンなどもバランスよく接種することも大切です。運動は適度に行い筋力をつけましょう。一人で行わずなるべく大勢の友人知人と運動することもよいことです。サークルやボランティア活動によって社会との関わりも持ちましょう。
 フレイルを予防し、健康長寿へと歩んでいきましょう。

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