広報こしがや

1998年11月01日

No.311 骨粗しょう症 軍事 一誠

骨粗しょう症は、超高齢化社会を迎えようとしている我が国にとって、医学的・社会的・経済的にも重要な疾患として認識されつつあります。
骨量(骨の量)は、成長とともに増加し、30歳代後半までに最大となり、その後徐々に減少します。ことに女性では閉経前から骨量は減少傾向を示し、閉経 後に加速的に減少します。骨粗しょう症に最も有効な予防は、若年期に骨量を高めることと、更年期からの骨量減少をできるだけ抑えることです。骨量を高める こと、骨量減少を少なくするためには、栄養・運動・日光浴が有効であることは周知のことと思います。その中で栄養面を中心に気が付いた点を述べてみます。  飽食の時代にもかかわらず、先進国では日本人のカルシウム摂取量は最低レベルであり、思春期における充足率はなお一層低値であります。最近小児の骨折が 増えているという報告があり、カルシウムの摂取量を増やすことは、将来の骨粗しょう症の予防のみならず、子どもの骨を丈夫にするためにも必要なことです。 牛乳などの乳製品に含まれるカルシウムは、腸から吸収されやすいので毎日の食事に取り入れるように心がけましょう。牛乳嫌い、下痢をおこす乳糖不耐症の方 は、スキムミルクや少量の牛乳を料理に使って工夫してみてください。
また、骨の代謝にかかわる栄養素は、カルシウムだけでなく、たんぱく質・リン・ビタミンD・ミネラルなどが関係しており、これらが含まれている食品をバ ランス良く取ることが大切です。最近、手軽なことから、リン酸塩添加の加工食品・インスタント食品を口にすることが多くなってきています。しかし、この過 剰摂取はカルシウムの吸収を抑制するため注意したいものです。特に、若い人のやせ願望が流行しており、ダイエットを繰り返すことは骨量を低下させる危険が あります。
運動は骨に刺激を与え、血流を良くして骨を丈夫にします。毎日無理のない範囲で、できるだけ体を動かすことが大切です。
越谷市医師会では、保健センターにおいて骨粗しょう症の検診を行っております。自分の骨の量が人並みなのか、それよりずっと低い状態であるかを知ることは、自分の生活を見直し、健康づくりに向けて改善する出発点となります。

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