広報こしがや

1998年11月15日

No.312 喘息死 周東 千鶴

気管支喘息(ぜんそく)は、アレルギー疾患の代表的な存在です。上手に管理をしないと死亡することがあり、これを「喘息死」といいます。ちなみに、日本 では年間約7000人の患者さんが死亡しており、高齢者の死亡者が多いだけでなく、最近は低年齢層の喘息死が増え問題になっています。
以前は、喘息はおもに気管支のけいれんを中心とした「急性の病気」と思われていました。ゆえに発作が起きた時だけ治せばよいと考えられていました。しか し最近は、慢性のアレルギー反応や大気汚染のような長期の化学的な刺激により気管支の粘膜が炎症(むくみ・はれ)をおこし、たくさんの痰(たん)を作った り気管支のけいれんを起こしたりして、慢性型喘息となることがわかってきました。ですからその炎症をできるだけ早く治す必要があります。そのため、強力な 抗炎症作用を有し副作用の少ない吸入ステロイド薬を、予防的に発作の軽いうちから使うようすすめられています。これにより喘息死が防げるとさえ報告されて います。
また、死亡に至る原因は患者さんの喘息への無知・適切な受診時期の遅れ・服薬を守らない・薬を持ち歩かない等です。喘息の症状が軽くなるとつい薬を飲み 忘れたり、仕事や運動で無理したり、つまり患者さんが油断をした時に喘息死は多いのです。特に思春期以降は、学業や仕事量の増加から受診率の低下・服薬率 の低下をきたし、喘息発作が頻発となり、効果発現が早い携帯発作止めの吸入薬に依存するケースが多いようです。それらの吸入薬の中には使いすぎると心臓に 負担をかけることもあるので、使用後には必ずうがいをすることをすすめます。使用回数と上手な使用方法をかかりつけの先生によく指導してもらうことが大切 です。
喘息の予防には、アレルギーの原因をきちんと調べ、アレルギーの元を絶つことが最も大切です。特に、たばこや大気汚染から遠ざかることも大事です。その 他には、体調を悪くするような生活パターンを避け、十分な睡眠や休息をとってください。また、病気のしくみを理解し、予防や治療方法をきちんと守り、主治 医診察を受け、その指導を守ってください。何と言っても健康第一です。ふだんから健康作りをしましょう。

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