広報こしがや

2009年10月01日

No.455 経鼻内視鏡 武重医院 武重 徹

経鼻内視鏡は、太さが今までの内視鏡の約半分、直径約5ミリという細い内視鏡で、鼻腔から挿入し咽頭から食道を通り胃に到達します。この内視鏡の最大の利点は、舌の付け根を通らないため「おえっ」という咽頭反射がなく、楽に検査が受けられることです。また口を開けていられるため、検査中も話が出来ます。さらに今までの内視鏡検査では苦痛のために心拍数が上昇する場合がありましたが、経鼻内視鏡の場合、心拍数の上昇は少なく、体に対する負荷はとても少ない優しい検査と言えるでしょう。
しかし経鼻内視鏡で出来る処置は限られており、大きな処置は出来ないので、従来の経口内視鏡検査が今後も必要な検査法である事は間違いありません。また出血傾向のある人や狭小鼻腔などの経鼻内視鏡のリスクの高い人には、今までどおりの経口内視鏡検査が選択されます。このように経鼻内視鏡は胃がん検診などのスクリーニング検査に最も適したものと思われます。
そんなに楽にできるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、過去に経口内視鏡を受けた方に経鼻内視鏡を受けた後、次はどちらを選択しますかという質問をすると、ほとんどの患者さんが経鼻内視鏡を選択すると答えます。しかし鼻の痛みや鼻出血などの理由で経口内視鏡を選択される方も、ごく少数ですがいらっしゃいます。
会社などの定期健康診断で内視鏡が嫌でバリウムを選択された方の中にも、要精査を指摘され内視鏡をするかどうか悩んでおられる方もいるかもしれません。またつらそうだからと従来の内視鏡検査を躊躇されてきた方も多いと思います。経鼻内視鏡は患者さんの苦痛軽減のために、これから主流になっていく検査法であり、現在では越谷市内でも徐々に使用する施設も増えてきています。癌は早期に発見治療すれば治る可能性も高くなります。ぜひ勇気をだして今年こそは検診を受けてみてください。

過去のホームドクター