広報こしがや

2021年08月16日

NO.597 大腸がん検診のすすめ 市川胃腸科外科病院 市川亮介

 今回は、大腸がん検診についてお話ししようと思います。
 最新のがん統計(国立がん研究センターがん情報サービス)による2019年度のデータでは、大腸がんの死亡数は、女性で1位(人口10万人あたり37.8人)・男性で3位(人口10万人あたり45.5人)と高い水準を推移しています。
 近年、食事の欧米化による肥満などから大腸がんのり患率(病気にかかる確率)の増加が問題となりその早期発見が求められます。
 大腸がんはポリープのがん化による発生が原因とされ、早期に見つかれば内視鏡治療も可能な場合があります。たとえ、進行がんであっても手術療法・抗がん剤治療などの進歩が著しく5年での生存率は70%程度と比較的治療効果の高いがんの一つとされます。
 しかし、発見された時点での進行度により階層的に予後が悪くなるため、早期の発見がとても重要となります。
 わが国では40歳以上の方を対象に検診として便潜血検査(2日法)が行われています。2日分の便で大腸がんの人が陽性である確率は83%、病変がない人が陰性である確率は96%と信頼のおける検査となっています。
 しかし、偽陽性率(本当はがんが無いのに陽性となる確率)が2.4~30%、偽陰性率(本当はがんがあるのに陰性となる確率)が7.1~70%とかなりの幅があります。
 検診の陽性率(要精密検査の確率)は約7%、実際にがんが発見される確率は全体の0.17%とされます(H15年度の検診実施状況;地域保健・老年保健事業報告より)。
 つまり、この検査で陽性となった方の中には、大腸がんでない方が多く含まれているということです。要精査となった場合でも慌てず速やかに大腸内視鏡検査を受けるようにしてください。また、「痔があるからと再検査を受けない」とよく耳にすることがありますが、検査で異常が出たら必ず精密検査を受けるようにしましょう。
 大腸がん検診は簡易的で副作用のない検査です。
 うまく組み合わせることにより皆様の健康の維持にお役立ていただけると思いますので、定期的な検診をお勧めいたします。

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