広報こしがや

2024年02月20日

NO.625 白内障について 越谷にしはら眼科 西原龍二

 日常生活において緩徐な視力低下は気が付きにくいものです。私たちが物を見る像は角膜、水晶体を通った光が網膜に投影され結像されたものです。水晶体はレンズの役割を果たしている組織で、その水晶体がさまざまな理由で混濁する病気が白内障です。原因として最も頻度が高いものは、加齢に伴う白内障です。早い人では40代から、80代では100%の人で白内障を発症します。その他の原因として、先天的なもの、外傷、アトピー、薬剤、放射線、その他の病気(炎症)に続き起こるものもあります。
 白内障の治療には薬物療法と手術があります。ただし、一度濁った水晶体(白内障)を透明にする薬はありません。濁りの進行を遅らせ、他の病気が合併しないよう、目薬などで経過を観察します。
 白内障の手術時期については、一般に手遅れになることはありませんが、かすみ、視力低下をして仕事や日常生活に支障を来す場合。外でまぶしく極端に見えにくい場合。運転に支障を来す場合。矯正視力で片眼0.3以下、両眼0.7以下になり、運転免許の更新ができない場合があげられます。また、まれですが白内障により炎症を起こす場合、緑内障等の病気の発症予防のため早期手術が必要になることがあります。
 手術は、混濁した水晶体を取り除き、人工のレンズを眼内に挿入する方法が一般的です。局所麻酔にて外来日帰り手術が主流ですが、入院にて手術を行うこともあります。眼内に入れるレンズの種類により、保険医療、選定医療(保険適応+一部自由診療)、自由診療に分かれます。選定医療、自由診療は、手術で入れるレンズの種類を遠近に対応した(多焦点)レンズを使用する場合に適応となります。術後に眼鏡による補正が必要になる場合もありますので、医師とよく相談してレンズを選定することが重要です。
 左右の見え方が異なる場合や、物を見た時のゆがみや視野の欠損がある場合、白内障以外のほかの原因での視力低下の可能性もあります。早めの眼科受診で診断、原因の治療を受けることが大切です。

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