広報こしがや

2024年04月05日

NO.628 夜間頻尿について いいやま泌尿器科 飯山徹郎

 日々診療をしていると「日中は問題ないが夜何度もおしっこで起きる」という就寝中に2回以上排尿に起きる夜間頻尿を主訴にお越しになる高齢の患者さんが多くいます。就寝中に何度も排尿に起きると睡眠不足だけでなく、高齢の方は寝ぼけ眼でトイレに行く間に転倒し骨折、寝たきりになることもあり寿命が短くなる原因にもなります。多くの患者さんが薬をもらえばすぐよくなると考えて来院されますが夜間頻尿の原因は意外と多くあり、状況に合わせて対応する必要があります。
 膀胱の尿をためる能力の低下(蓄尿障害)は泌尿器科的な原因と言えます。前立腺肥大症や過活動膀胱など泌尿器科的な治療で改善することが多いですが、ほかにも就寝中に1日の尿量の3分の1以上が生産排尿される夜間多尿や、眠りが浅くなるタイプの睡眠障害(中途覚醒)で来院される方も多くいます。
 夜間多尿かどうかは、排尿日誌を用いてご自身でもチェックできます。朝起きてから翌日の朝まで、排尿した時刻と百均で売っている料理用の計量カップで毎回測定した排尿量を記録するものです。インターネットで「排尿日誌」と検索すれば分かりますので、興味のある方はやってみてください。
 1日の尿量が2,500ml以上の方は、糖尿病や腎機能障害などの内科的な原因を調べたほうがいいかと思います。内科的な原因が無ければ夕方以降の水分摂取を控える方法があります。また、日中は重力に負けて下肢に水がたまり、就寝時に横になることで水分が上半身に移動し就寝中の尿量が増える方もいらっしゃいます。そのため日中足がむくむが朝起床時には良くなる下肢浮腫の方は、日中に弾性ストッキングを履いたり、夕方くらいから横になって足にたまった水分を上半身に送ることで就寝前に尿を作ることになり、夜間多尿が改善する方もいらっしゃいます。
 さらに、睡眠障害も原因として多くみられます。説明しても「寝つきがいいから睡眠障害ではない」と反論されることが多いですが、寝つきはよくても眠りが浅いタイプの睡眠障害もあり、高齢になるとこのタイプの患者さんが多いと実感しております。睡眠導入剤や安定剤などで改善することが多いですが、睡眠導入剤に抵抗がある方もいますので、熟睡できる環境を整えるのも効果的かと思います。
 このように夜間頻尿の原因は蓄尿障害、夜間多尿、睡眠障害、内科的疾患など多岐に渡ります。心配な方はかかりつけ医に相談するかお近くの泌尿器科の受診をおすすめします。

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