広報こしがや

2016年02月29日

№532 紫外線と薬 和光クリニック 坂下さゆり

春、日差しの暖かい季節になりました。太陽の光に含まれる紫外線が増え始める季節です。紫外線照射量は3月には1月の2倍になり、夏に向けて増え続け、6~8月が最も多くなります。私たちは4月~9月の半年間で1年分の70~80%の紫外線を浴びることになります。紫外線がしみやしわ、皮膚がんの原因になることは広く知られていますが、日焼けのような薬疹「光線過敏型薬疹」を起こすことがあるのをご存じでしょうか。
 薬疹は、内服や注射した薬の影響で皮膚や粘膜に出る発疹のことで、薬の副作用の一つです。すべての薬は薬疹をおこす可能性があります。
 薬疹にはいろいろな型がありますが、多いのは「はしか」のような小さく赤い発疹が体の広い範囲に多発する紅斑丘疹型です。日光の当たる部位だけに発疹、かゆみなどが出る光線過敏型薬疹は、紫外線の強くなる春から夏に多くなります。
 原因になる薬は、高血圧治療薬、高脂血症治療薬、消炎鎮痛薬、抗生物質などいろいろな種類があります。他の型の薬疹と同じで、薬を内服、注射したすべての人に症状が出るわけではありません。新たに薬で治療を始めてから、顔、首、胸のVネックゾーン、手の甲などが以前より日焼けしやすくなったと感じたら、光線過敏型薬疹の可能性があります。薬の中止や変更の必要があるかもしれませんから、主治医にご相談ください。
 また、紫外線の多くなる時期には、塗り薬や湿布による単なるかぶれ(接触皮膚炎)ではない症状、光接触皮膚炎が増えます。腰に貼っても大丈夫だった湿布を衣服で覆われない部位、例えば手首に貼ったらかぶれた、という経験はないでしょうか。
 このような湿布薬の外袋には「光線過敏症をおこすことがあるので貼付部を紫外線に当てないでください。使用中止後も少なくとも4週間は注意が必要です」と書かれています。日光の当たるところに湿布を貼る場合は、この注意書きの有無を確認することが大切です。この種類の薬は市販薬のローションやゲルなどの塗り薬もありますので注意してください。

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